【雑記】刑事訴訟法の改正と、海賊版サイトのおかしなブロッキング問題に関して(2019/07/09)

  1. 刑事訴訟法の改正について

    刑事訴訟法等の一部を改正する法律により、刑事訴訟法が2016年に改正された。同法改正に伴い2019年6月から特に我々一般市民にはアメとムチが適用される事となった。

    e-Gov法令検索

    www.asahi.com

    一つは警察による取り調べの適正化のための全録音・全録画制度(すべてが対象とはならずに裁判員裁判制度のみだけが必須となったが)と改正通信傍受法の施行だ。

  2. 取り調べの録音・録画制度について

    まず、録音・録画制度だが、取り調べの可視化が行われるようになった。

    e-Gov法令検索

    被疑者の自供に任意性があるかどうか、利益の誘導(『罪を認めれば刑を軽くする、起訴をしない』などを密室の取り調べ室での虚偽の自白)をされていないか、あるいは暴行を行われて嘘の供述を強制されていないかどうかの透明性の確保のためである。

    www.fnn.jp

    本録音・録画制度の施行の背景には、大阪地検特捜部による証拠フロッピーディスク改ざん事件などがあるそうだ。

    大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件 - Wikipedia

  3. 改正通信傍受法について

    次に改正通信傍受法だ。

    e-Gov法令検索

    www.nikkei.comそもそも、海賊版サイトに対するサイトブロッキングの問題で話題となっていた、『通信の秘密』、『検閲』の問題だが、旧通信傍受法により通信傍受による捜査活動は認められていたのだ。

    (なお、児童ポルノが通信傍受による捜査の対象となったのは2016年12月の施行からとなっている事は意外と見逃されている事実だと思う)

    www.sankei.com

  4. 刑事訴訟法に改正前からあった通信の傍受について

    通信の傍受については、実は刑事訴訟法第222条の2に定めがある。

    刑事訴訟法第222条の2 - Wikibooks

    『通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については、別に法律で定めるところによる。』

    この場合で示されている『別の法律』の部分が通信傍受法になるわけである。

     

    なぜか、海賊版サイト問題では通信傍受法の再改正を行おうとする動きが現時点でまるで見えない。

  5. 終わりに
    だが、そもそもこの通信傍受法の存在と刑事訴訟法第222条の2自体がそもそも日本国憲法21条2項の『検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。』に反しており、司法警察職員が捜査のためとはいえ、通信の秘密を侵しているという事実に変わりは無いだろう。